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転職の年収交渉で他社内定の「嘘」をつくリスクとは?本当のメリットと安全な進め方

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転職活動において、志望する企業から無事に内定を獲得し、労働条件通知書を手にした際、「提示された年収をもう少し増やしたいけれど、他社からの高い内定を口実にすればスムーズに引き上げてもらえるのではないか」「実際にはない他社からの内定の嘘をついて、交渉を有利に進めても大丈夫だろうか」と、頭を悩ませる転職者は少なくあります。自身のこれまでの経験やスキルを正当に評価してもらい、納得のいく適正な年収を得たいと願うことは当然の思いですが、そのやり方を誤ってしまうと、取り返しのつかない深刻なトラブルに発展するリスクが伴います。結論から申し上げますと、年収交渉において「存在しない他社からの内定」や「実際よりも高い提示額の嘘」をつくことは、絶対に避けるべき重大なタブーです。この記事では、年収交渉で他社の嘘をつくことの具体的なリスクをはじめ、企業側に嘘が見抜かれる理由、リスクを完全に回避しながら安全に年収をアップさせるための正しい進め方について、詳しく解説します。

転職の年収交渉で他社の「嘘」をつくことが厳禁である理由

まずは、条件を有利に運ぶために他社内定の嘘をつくことが、なぜビジネスの場において決定的なご法度とされているのか、その背景にあるリスクと実態について正しい理解を深めておくことが大切です。

嘘が発覚した瞬間に「内定取り消し」や「解雇」につながるリスク

年収交渉の際に「他社から年収〇〇万円で内定が出ています」と虚偽の事実を伝えた場合、仮にその場では企業側が条件の引き上げに応じたとしても、後から嘘が発覚した段階で事態は一変します。採用の選考過程や条件のすり合わせにおいて、虚偽の経歴や条件を提示して企業を欺く行為は、労働契約における「信頼関係の破壊」に該当します。入社前であれば「内定取り消し」となり、入社後であっても「経歴詐称や重大な背信行為」として懲戒解雇の対象になり得る、極めて重大なコンプライアンス上のリスクを抱えることになります。

企業側が他社提示額の「証明書」や源泉徴収票を求めるケース

多くの企業や採用担当者は、求職者から他社との競合話を切り出された際、冷静にその真偽を確認するための手続きを行います。「本当であるならば、他社から発行された労働条件通知書やオファーレターのコピーを提示してください」と求められることは、決して珍しくありません。また、前職の年収についても、入社手続きの際に必ず「源泉徴収票」の提出が義務付けられるため、前職の給与や他社の条件に関してその場しのぎの嘘をついても、書類提出のタイミングで必ず露見することになります。

なぜ求職者は年収交渉で嘘をついてしまうのか?その心理と落とし穴

多くの転職者が、リスクを理解しつつも、つい他社の嘘に頼りたくなる背景には、いくつかの焦りや誤解が存在します。

「そのままの条件では評価されていない」という焦り

自分が第一志望とする企業から提示された金額が予想以上に低かった場合、「ただ自分の要望を伝えるだけでは、企業側は絶対に聞き入れてくれないのではないか」「他社の存在という強いプレッシャーをかけなければ、年収は上がらないはずだ」という思い込みに囚われてしまいます。しかし、企業が提示する最初の条件は、あくまで社内規定に基づく標準的な初期値であることが多く、適切な根拠を示して相談を行えば、嘘をつかなくても十分に再検討の余地は存在します。

交渉の主導権を握りたいという誤ったアプローチ

「他社に取られたくない」という企業の心理を意図的に利用し、交渉の主導権を完全に握ろうと画策することが、最大の落とし穴となります。ビジネスにおける条件のすり合わせは、お互いの信頼関係を構築するための第一歩であり、互いに欺くようなアプローチをとった時点で、良好な労務管理のスタートを切ることは不可能となります。

嘘をつかずに安全かつ効果的に年収アップを実現する正しい進め方

他社の嘘に頼らなくても、適切なタイミングと客観的な根拠に基づいたアプローチを実践すれば、企業から年収の引き上げを引き出すことは十分に可能です。

1. 交渉を行うベストなタイミングは「内定受領後」

年収交渉を行う上で最も安全であり、かつ企業側に受け入れられやすい最も適切な時期は、すべての選考プロセスを通過し、企業から正式に「内定通知書」や「労働条件通知書」を受領した直後から、内定承諾書を提出するまでの検討期間内に限られます。企業が「あなたを自社に迎え入れたい」という明確な評価を下した段階であれば、応募者側の立場が比較的安定し、対等な立場で条件のすり合わせを行うことができます。

2. 謙虚な「相談」のスタンスと客観的な根拠の提示

交渉の際は、自分を高く評価して内定を出してくれたことに対する深い感謝と、その企業で意欲的に働きたいという高い入社意欲を真っ先に伝えます。その上で、「提示いただいた条件について前向きに検討させていただいておりますが、前職での実績や現在の市場相場を踏まえ、大変恐縮ながら少しご相談させていただくことは可能でしょうか」と、丁寧な「相談」のトーンを貫きます。前職の源泉徴収票や、具体的な業務成果などの客観的なデータを添えることで、企業側も納得感を持って検討しやすくなります。

3. 本当に他社内定がある場合の適切な伝え方

もし、実際に他社からも内定を獲得しており、その条件を比較材料として使用する場合であっても、嘘をつく必要はありません。「他社様からも内定をいただいており、条件面では少し違いがございますが、業務内容や将来性において御社が第一志望であることに変わりはございません。もし可能でございましたら、条件面について少し歩み寄っていただくことは可能でしょうか」と、誠実かつ上品に伝えることが、信頼を損ねずに好結果を引き出す正しいやり方となります。

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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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