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雇用契約書と給料交渉:記載内容の確認とトラブルを防ぐための実践ガイド

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雇用契約書は「給料交渉」の着地点を明文化する重要な書類

転職や採用時に交わされる雇用契約書は、労働条件を正式に取り決める法的文書です。給与、勤務時間、休日、業務内容などが明記されており、双方にとっての「働くうえでの約束」となります。

その中でも特に注目されるのが「給与」に関する記載です。面接や内定後に行われた給料交渉の結果が、雇用契約書に正しく反映されているかどうかを確認することは、トラブル防止の観点から極めて重要です。

本記事では、「雇用契約書 給料交渉」というキーワードに沿って、交渉内容を文書に反映させる際の注意点、確認ポイント、そしてトラブルを未然に防ぐための実務的な知識を解説します。


雇用契約書とは何か?給料交渉との関係性

雇用契約書は、労働者と企業の間で取り決めた労働条件を明文化したもので、労働基準法第15条に基づいて交付が義務付けられています。契約書の中で、特に給料交渉と関連するのは次の項目です:

  • 賃金(基本給、諸手当、支払日、締切日)
  • 所定労働時間・時間外労働に対する賃金の取り決め
  • 賞与・昇給の有無
  • 雇用期間(有期契約の場合)
  • 試用期間中の給与条件

給料交渉で合意した内容が契約書に明記されていなければ、その交渉結果は法的効力を持たないことになります。


給料交渉後、雇用契約書で必ず確認すべき項目

1. 基本給が交渉通りに記載されているか

交渉で提示された金額と、契約書に記載された基本給が一致しているかを確認します。たとえば、「月給30万円」と verbal(口頭)で言われていても、契約書に「月給28万円」と記載されていれば、後者が正式な取り決めとなります。

2. 各種手当が含まれていないかを確認

契約書の中には、基本給+職務手当、みなし残業手当などの構成で給与が記載されていることがあります。「総額は合っていても、基本給が低く、残業代の計算基準が低くなる」といったケースがあるため、給与の内訳にも注意が必要です。

3. 賞与や昇給の取り扱い

「年2回賞与あり」「昇給制度あり」と記載されているか確認し、「業績により変動」「業務評価に基づき実施」といった条件文も合わせて読み取ることが大切です。

4. 試用期間中の給与

給料交渉時に提示された金額が試用期間後のものだったというケースもあります。契約書には「試用期間中:月給△万円」と明記されている場合もあるため、期間と金額の両方を確認するようにしましょう。


給料交渉後、雇用契約書に反映されていないときの対処法

1. 速やかに書面で確認を求める

契約書の提示後に内容が異なることが分かった場合は、口頭ではなく文書(メールなど)で修正依頼をするのが原則です。

例文:

お世話になっております。
先日ご提示いただいた雇用契約書につきまして、確認させていただいたところ、
給与の条件が先日お話しいただいた内容(月給○○万円)と異なっているように見受けられました。
ご確認のうえ、必要に応じて修正をご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。

2. 内定承諾前であれば交渉継続も可能

契約書の内容に納得がいかない場合、署名をする前であれば再交渉が可能です。あくまでも誠実な姿勢で、「書類と合意内容の差異について再確認したい」と申し出ましょう。

3. 承諾後は慎重に対応を

契約書に署名・捺印をした後の条件変更は、原則として認められにくくなります。そのため、署名前の最終確認が何よりも重要です。


給料交渉と雇用契約書に関するトラブル事例と回避策

事例トラブル内容回避策
内定時に提示された年収と契約書の金額が違う口頭の条件が文書に反映されていない内定条件通知書やメールで書面確認を取る
みなし残業代込みだったが説明がなかった実質時給が下がった契約書の「みなし残業時間数と金額」を確認する
昇給制度がないと後で判明将来的な収入増が見込めない「昇給あり」と記載されているか明文化をチェックする

雇用契約書は「給料交渉のゴール」かつ「スタート地点」

給料交渉は、自己評価を明確に伝え、企業とすり合わせを行う重要なプロセスです。しかし、その結果を確実に残すには、雇用契約書への正確な反映が不可欠です。契約書はただの形式ではなく、入社後のあらゆる待遇の“基準点”になります。

だからこそ、「雇用契約書 給料交渉」というテーマは、交渉の場だけでなく、キャリアと生活を守る最終確認ポイントとしての意義を持ちます。


まとめ

  • 雇用契約書は、給料交渉の結果を正式に記録する“法的根拠”になる書類。
  • 面談やメールで交わした口頭の約束も、契約書に記載されていなければ効力は弱い。
  • 「金額」「内訳」「昇給」「賞与」「試用期間の条件」を必ずチェックする。
  • 内容に違いがあれば、署名前に必ず文書で確認・修正を依頼する。

給料交渉の成否は、交渉だけでなく、契約書での最終確認にかかっているとも言えます。納得できる条件で働くために、契約書の一言一句を丁寧に読み解く習慣を持ちましょう。

ABOUT ME
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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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