転職面接におけるスーツのボタンマナー|男女別の留め方・座るときの扱いと注意点
中途採用の面接に向けてスーツを着用する際、「ジャケットのボタンはすべて留めるべきなのか」「一番下のボタンは開けておくのが正解なのか」「椅子に座るときはボタンを外すのか」と、細かな扱いに迷う転職者は少なくありません。
スーツのボタンの留め方は、単なる着こなしの好みではなく、確立された国際的なビジネスマナーが存在します。特に男女でルールが正反対であるため、基本を正しく理解していないと、意図せず「スーツの着こなしを知らない」「身だしなみに無頓着である」といった印象を面接官に与えてしまいかねません。
男性・女性それぞれのスーツのボタンマナーをはじめ、ジャケットのタイプ別の留め方、着席時・起立時の動作作法、シャツのボタンの扱い、面接前に確認すべき注意点について解説します。
【男性編】スーツのボタンマナーと基本ルール
男性のスーツスタイルには、「アンボタンマナー」と呼ばれる国際的な基本原則があります。これは、「ジャケットの一番下のボタンは常に留めずに開けておく」というルールです。
男性用スーツは、一番下のボタンを外した状態で最も美しいシルエット(ドレープやウエストのシェイプ)が出るように設計されています。一番下まで留めてしまうと、布地に不自然な横ジワが寄り、動きにくくなるだけでなく、着こなしとして不恰好に見えてしまいます。
1. 2つボタンジャケットの場合
- 留め方:「上のボタンのみ留め、下のボタンは外す」
- ビジネススーツで最も主流のスタイルです。上のボタンだけを留めることで、胸元のVゾーンと裾への広がりが綺麗に保たれます。
2. 3つボタンジャケットの場合
- 段返り3つボタン(第1ボタンが襟の折り返しに隠れているタイプ):
- 「真ん中のボタンのみ留め、上と下のボタンは外す」
- 現代の3つボタンスーツの多くはこの「段返り」仕様です。一番上のボタンは飾りとして作られているため、留めてはいけません。
- 標準的な3つボタン(第1ボタンが襟の表に出ているタイプ):
- 「上と真ん中の2つを留め、一番下のボタンのみ外す」
- クラシックな3つボタンスーツの場合の留め方です。
3. ダブルスーツ(ダブルブレスト)の場合
中途採用の一般的な面接ではシングルスーツが推奨されますが、ダブルスーツを着用する場合は、前合わせを固定するため「ボタンを留めるのが基本」です(6つボタンの場合は中ボタン、4つボタンの場合は上または下の留めやすいボタンを留めます)。
【女性編】スーツのボタンマナーと基本ルール
女性のスーツスタイルにおけるボタンマナーは、男性のルールとは全く異なります。
ボタンの数に関わらず「すべて留める」のが鉄則
- 留め方:「1つボタンでも2つボタンでも、すべてのボタンを留める」
- 女性用スーツのジャケットは、すべてのボタンを留めた状態で最も美しいウエストラインが出るように立体裁断されています。男性のように一番下のボタンを開けてしまうと、「ボタンを留め忘れている」「だらしない」と判断されてしまいます。
1つボタンスーツ着用の際の配慮
女性のスーツには、ボタンが1つだけのデザインも多く存在します。もちろん1つボタンのジャケットを着用しても問題ありませんが、2つボタンに比べるとややウエストの絞りが強く、華やか・カジュアル寄りの印象を与えることがあります。金融、公務員、歴史ある大手企業など、堅実さを重んじる業界の面接では、よりフォーマル度の高い2つボタンのテーラードジャケットを選ぶのが無難です。
着席時・起立時のボタンの取り扱い作法
面接室に入室し、椅子に着席する際のボタンの扱いについても、男女で対応が分かれます。
男性の着席時:面接では「留めたまま」でもマナー違反ではない
国際的な西洋のビジネスマナー(正統派マナー)では、男性は「座る瞬間にボタンをすべて外し、立ち上がる瞬間に再び留める」とされています。座ったときにボタンが留まっていると、ジャケットの前身頃が引っ張られて型崩れを起こすためです。
しかし、日本の採用面接の場においては、座る際も「ボタンを留めたまま」で臨むことが広く許容されており、定着しています。
- 自然に外せる場合:「どうぞお掛けください」と勧められて着席する直前に、片手でスッとボタンを外し、面接終了後に立ち上がる際に自然に留め直す動作ができるのであれば、スマートな着こなしとして好印象です。
- 動作に不安がある場合:着席時や起立時にボタンの開閉でもたついて視線が泳いだり、挨拶のタイミングが遅れたりするくらいであれば、「立ったときの状態(一番上だけ留めた状態)のまま座る」ほうが落ち着きを保てます。面接官からマナー違反と見なされることはありません。
女性の着席時:「常にすべて留めたまま」にする
女性の場合は、座る際もボタンを外してはいけません。
着席時もすべてのボタンを留めたまま姿勢を正して座るのが正式なマナーです。座った際にジャケットの裾が突っ張ったりシワが寄ったりしないよう、背筋を伸ばし、椅子の背もたれに寄りかからずに浅めに腰掛けることで、手元や胸元が綺麗に保たれます。
スーツ以外の「シャツ・ブラウス」のボタンマナー
ジャケットのボタンだけでなく、インナーの首元や袖口のボタンの扱いにも配慮が必要です。
男性のワイシャツ
- 第1ボタン(首元):ネクタイを締めるため、一番上のボタンまで完全に留めるのが鉄則です。首回りのサイズが合っておらず、第1ボタンを外したままネクタイで隠そうとすると、襟元が歪んでだらしなさが見抜かれます。
- カフスボタン(手首):袖口のボタンもしっかりと留めておきます。腕まくりなどは厳禁です。
- ボタンダウンシャツは避ける:襟先をボタンで留める「ボタンダウンシャツ」は、元来スポーツ・カジュアル用途に由来するデザインです。ネクタイを締めるフォーマルな面接では避け、通常のレギュラーカラーやセミワイドカラーのドレスシャツを選びます。
女性のブラウス・シャツ
- レギュラーカラー(襟付きシャツ):一番上までボタンがあるタイプの場合、首元のボタンをすべて留めて着用します。
- スキッパーカラー(開襟シャツ):もともと首元のボタンがないデザインであるため、ジャケットの襟元に自然に沿わせます。ただし、胸元が開きすぎて肌が露出しすぎないよう注意します。
- オフィスカジュアルのブラウス・カットソー:ボタンのないとろみブラウスやラウンドネックのカットソーを選ぶ場合でも、お辞儀をした際に下着や胸元が見えない適度な開きのものを選びます。
面接本番前に確認すべき「ボタンのチェックリスト」
面接当日に悪印象を与えないため、事前に確認しておくべきポイントです。
| チェック項目 | 確認内容 |
| ボタンの糸の緩み・ほつれ | ジャケットや袖口のボタンがグラグラしていないか(取れかけているとだらしなく見える) |
| 男性のアンボタンマナー | 一番下のボタンを無意識に留めてしまっていないか |
| 女性の留め忘れ | ジャケットのボタンが外れたままになっていないか |
| 袖口(アームホール)のボタン | ジャケットの袖口にある飾りボタンが欠けていないか |
| 座ったときのシワの寄り具合 | 椅子に座った際、ボタン周りに強い横ジワが寄りすぎていないか(サイズがきつすぎないか) |
ボタンの留め方という細部まで気を配ることは、「礼節をわきまえた社会人としての基本動作ができている」という無言の証明になります。正しいルールを把握した上で、清潔感のある身だしなみを整えて選考に臨むことが重要です。



