転職面接における挨拶のマナーと所作・場面別の受付から退室までの手順
中途採用の面接では、これまでの実務実績やスキルの適合性だけでなく、ビジネスパーソンとしての基本的な礼節や対人マナーが厳しく見極められます。その中でも、第一印象を決定づける「挨拶」は、社会人としての経験値や信頼性を直感的に判断される重要な要素です。
どれほど優れた職務経歴書を作成していても、初対面の挨拶や立ち居振る舞いが雑であれば、「社外の取引先やクライアントの前に立たせられない人物」と判断されかねません。受付の対応から入室、着席、退室、さらにはオンライン面接に至るまで、場面ごとの挨拶の所作や言葉遣いの基本マナーについて解説します。
転職面接における挨拶の基本姿勢
中途採用における面接マナーは、単に決まった台詞を言えるかどうかではなく、相手への配慮や落ち着いた品格が所作に表れているかが問われます。
「語先後礼」を徹底して丁寧さを伝える
好印象を与える挨拶の基本は、言葉を述べてからお辞儀をする「語先後礼(ごせんごれい)」です。「失礼いたします」と言いながら頭を下げる「ながら礼」は、慌ただしく粗雑な印象を与えてしまいます。相手の目をまっすぐ見て挨拶を述べ、言い終えてから丁寧に頭を下げることで、誠実で落ち着いた大人のマナーを印象づけられます。
通る声のトーンと自然な表情を意識する
無理に大声を張り上げる必要はありませんが、相手が聞き取りやすい明瞭な発声と、やや高めのトーンを意識します。緊張から無表情になったり視線を逸らしたりすると、自信のなさや警戒心が伝わってしまうため、軽く口角を上げて穏やかな表情を作ることが大切です。
企業の敷地内に入った瞬間から面接が始まっている意識を持つ
選考は、面接室で面接官と向かい合った瞬間から始まるわけではありません。受付の担当者、廊下やエレベーターですれ違う社員、警備員など、企業敷地内でのすべての接触において礼儀正しい姿勢を保ちます。
【場面別】面接当日の挨拶の流れと実用フレーズ
企業への訪問から選考を終えて退館するまでの、時系列に沿った一連のマナーとフレーズです。
1. 受付での挨拶
到着時刻は、指定された面接開始時刻の「10分前」が目安です。早すぎる到着(20分以上前など)は相手の業務を中断させてしまうため、時間調整をしてから向かいます。
- 受付窓口がある場合
「本日、〇時より面接のお約束をいただいております、〇〇(フルネーム)と申します。採用ご担当の〇〇様にお取次ぎをお願いできますでしょうか」 - 内線電話を使用する場合
「お仕事中に恐れ入ります。本日、〇時より採用面接の機会をいただいております、〇〇(フルネーム)と申します。採用担当の〇〇様をお願いできますでしょうか」
2. 面接室への入室時の挨拶
案内された部屋の前で名前を呼ばれたら、ゆっくりと3回ノックをします(2回はトイレの空室確認とみなされるため避けます)。
- 室内から「どうぞ」「お入りください」と応答があってから、「失礼いたします」と発声し、ドアを静かに開けます。
- 入室したら、面接官に完全に背中を向けないよう、斜めに向き直って静かにドアを閉めます。
- 再び面接官側を向き、「失礼いたします」と述べて30度のお辞儀をします。
- 背筋を伸ばして歩き、用意された椅子の横(原則としてドアに近い下座側)に立ちます。
3. 着席前の挨拶と名乗り
椅子の横に立ち、案内されるまでは勝手に座らないのがルールです。
- 名乗りのフレーズ
「〇〇(フルネーム)と申します。本日はご多忙のところ、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします」 - お辞儀
言葉を述べ終えた後、45度の深い一礼(最敬礼)をします。 - 着席
面接官から「どうぞお掛けください」と促されたら、「失礼いたします」と返答して軽く一礼し、静かに着席します。持参したビジネスバッグは、椅子の横の床に自立させて置きます。
4. 面接終了・退室時の挨拶
質疑応答が終わり、面接官から「本日の面接は以上となります」と告げられた後の立ち居振る舞いです。面接終了の瞬間は気が緩みやすいため、丁寧な所作を維持します。
- 着席したままのお礼
座った姿勢のまま面接官の目を見て、「本日はお忙しい中、貴重なお話をいただき誠にありがとうございました」と述べ、深く一礼します。 - 立ち上がっての一礼
立ち上がり、荷物を手にして椅子の横に立ち、再度「失礼いたします」と述べて45度のお辞儀をします。 - ドア前での最後の挨拶
ドアの前まで移動したら、面接官側に向き直り、「失礼いたします」と述べて30度のお辞儀をします。 - 静かな退室
ドアを開け、身体を外へ進めながら、室内側を振り返るようにして静かにドアを閉めます。
オンライン面接(Web面接)での挨拶マナー
オンライン面接においても、対面と同様に礼節あるコミュニケーションが求められます。画面越し特有の注意点を押さえておく必要があります。
接続直後の第一声
指定された接続ツールには開始5分前に入室して待機します。面接官が接続した段階で、自ら口火を切って挨拶を行います。
- フレーズ
「初めまして。本日面接のお時間をいただいております、〇〇(フルネーム)と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。そちらにお声は届いておりますでしょうか」 - ポイント
挨拶の冒頭で音声確認を自発的に行うことで、通信環境への配慮を示せます。
画面越しの視線とお辞儀の角度
座った状態でお辞儀をする際、頭を深く下げすぎると画面から完全にフレームアウトしてしまいます。胸元から上を軽く前に傾ける程度にとどめることで、画面内でのバランスを保てます。また、挨拶を述べる際は、画面上の面接官の顔ではなく、PCの「カメラレンズ」に視線を向けることで、相手側に視線がまっすぐ合っている印象を与えられます。
終了時の切断マナー
面接終了の挨拶とお礼を述べ、一礼をした後、すぐに「通話終了ボタン」を押すのは避けます。面接官が先に退出するか、「画面を閉じていただいて構いません」と声がかかるのを待ち、数秒置いてから静かに切断します。
挨拶で評価を落とさないための注意点
些細な癖や気の緩みが、面接官に違和感を与えてしまうことがあります。
- 語尾を曖昧にせず言い切る
「〇〇でぇ…」「よろしくお願いしますぅ」といった語尾の伸びや消え入るような話し方は、幼さや頼りなさを感じさせます。文末は「〜です」「〜ます」と最後まで明瞭に言い切ります。 - ドアの開け閉めを片手で雑に行わない
ドアノブは両手で丁寧に扱い、乱暴な音を立てないよう静かに操作します。 - 建物の外に出るまで気を抜かない
面接室を出た直後にエレベーターホールでスマートフォンを操作したり、ネクタイを緩めたりする姿は、社員に見られている可能性があります。オフィスの敷地を完全に離れるまでは、面接中と同様の緊張感を保つことが重要です。



