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転職の「前職考慮」とは?年収を減らさず給与アップを引き出す給料交渉の進め方

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転職活動を進める中で、自身のこれまでに培ってきた経験やスキルを正当に評価してもらい、前職以上の年収を実現したいと考える転職者は、決して少なくありません。求人情報を見ていると、「給料は前職の年収を考慮して決定」「前職考慮」といった記載をよく目にします。しかし、実際に応募や選考を進める際、「前職考慮とは、前職の給与がそのまま保障されるという意味なのだろうか」「前職の年収をベースにして、どのように給与交渉を進めれば、企業側の心証を悪くせずに希望する年収を引き出すことができるのだろうか」と、言葉の正確な意味や、具体的な給料交渉の進め方について、疑問や不安を抱く方は多く存在します。求人に記載されている「前職考慮」という表現は、必ずしも前職の給料が100%保障されるという意味ではなく、前職の年収額をひとつの客観的な基準としつつ、自社の給料規定や本人のスキルと照らし合わせて評価するという、企業の姿勢を示したものです。この仕組みを正しく理解し、自身が前職で出してきた成果や提供できる価値を論理的なデータとしてアピールできれば、適切な手順で給料交渉を行うことで、年収ダウンを防ぎ、前職以上の納得のいく条件で新たなキャリアをスタートさせることが十分に可能です。この記事では、転職における「前職考慮」の仕組みと企業の意図をはじめ、前職の年収をベースにした給料交渉の進め方、オファー面談でのスマートなアプローチ、そして、絶対に避けるべきNG行動について、詳しく解説します。

転職における「前職考慮」の仕組みと企業の意図

まずは、企業が求人票などで提示する「前職考慮」という言葉の正確な意味合いや、採用側がどのような基準で給与を決定しているのかについて、正しい理解を深めておくことが大切です。

「前職考慮」が意味する実際の給与設定基準

「前職の年収を考慮する」とは、応募者が前職で得ていた給与水準を、転職後の基本給や提示年収を算出するための大きな判断材料にする、という意味です。しかし、これは「前職の年収をそのままスライドして保証する」という意味と同義ではありません。多くの企業では、前職での年収実績を確認した上で、自社内の給与規定(評価テーブル)における適切な等級や役職を照合し、社内の同年代や同等スキルの社員とのバランスを考慮しながら、実際の提示額を算出します。前職の給与があくまでスタートライン(議論の基準点)として扱われるのが、一般的な仕組みです。

企業が「前職考慮」を掲げる主な理由

企業が求人票に「前職考慮」と記載する背景には、優れたスキルを持つ優秀な人材を確保したいという狙いがあります。中途採用市場において、前職よりも大幅に給与が下がる条件を提示してしまうと、優秀な候補者の内定辞退につながるリスクが高まります。そのため、企業側は「これまでの実績や市場価値を尊重し、極端な年収ダウンを防ぐ柔軟な給与設定を行う用意がある」という姿勢を示す目的で、前職考慮という条件を提示しています。

前職の年収をベースに希望給与を引き出す交渉のポイント

前職の年収を基準としつつ、自身の希望する給料を引き出し、転職による年収アップを実現するためには、選考や面接の段階から適切な準備を行っておくことが不可欠です。

前職の実績と再現性を客観的な数値で示す

前職での給与水準をベースに条件交渉を行う際、最も重要となるのが「その年収に見合うだけの価値を、新しい企業でも生み出せる」という再現性の提示です。単に「前職で年収〇〇万円もらっていたから」と伝えるだけでは、説得力に欠けてしまいます。前職で達成してきた年間売上目標の達成率、業務改善によるコスト削減の実績、プロジェクトでの貢献度など、客観的な実績データをしっかりと整理します。「前職で培った明確なスキルや行動力を活かすことで、貴社においても早い段階で高い成果を生み出し、事業に貢献できる」という再現性を、論理的な数値とともにアピールすることが、前職の給与をベースに提示額を引き上げるための強い根拠となります。

自身の市場相場を把握し論理的な根拠を提示する

自身の前職の年収が、同じ業界や職種全体の「市場相場」と比較してどの位置にあるのかを、事前に把握しておくことも大切です。前職の給料が業界相場より極端に高かった場合や、逆に低かった場合など、市場の平均水準や同等のポジションにおける過去の採用事例といった客観的なデータを知っておくことで、企業側から提示された金額に対して、論理的かつ客観的な根拠を持って交渉に臨むことができます。

オファー面談で希望年収を引き出すスマートな給料交渉の進め方

選考を通過し、志望企業から内定や労働条件の提示を受けたオファー面談などの段階において、企業からの信頼を損ねることなく希望年収を引き出すための、具体的な交渉ステップについて解説します。

感謝と高い貢献意欲をベースにした謙虚な「相談」のスタンス

実際の条件提示や交渉の場においては、自分を評価して内定を出してくれた企業に対する、深い感謝の気持ちと、入社後に事業へ貢献したいという高い意欲を、真っ先に伝えることが鉄則となります。その上で、「これまでの実績や前職での給与水準、現在の労働市場における相場を踏まえ、提示いただいた基本給について、もう少し歩み寄りをご検討いただくことは可能でしょうか」と、あくまで謙虚な「相談」のスタンスでアプローチを行うことが重要です。プロとしての自信と謙虚さを同時に示すことで、人事担当者からの信頼を損ねることなく、円滑に条件の再検討を引き出すことが可能となります。

譲れない最低ライン(ボトムライン)の設定と共有

給料交渉においては、必ずしも自身の希望額が100%通るとは限りません。そのため、「希望年収は〇〇万円だが、前職の給料を維持できる〇〇万円であれば入社を承諾する」という、譲れない最低ライン(ボトムライン)を自分自身の中で明確に設定しておくことが重要です。妥協できる範囲を整理した上で交渉に臨むことで、感情的にならず冷静な判断を保ちながら、条件調整を進めることができます。

採用・オファー面談での給料交渉で絶対に避けるべきNG行動

面談や条件交渉の場において、企業からの信頼を決定的に損ねる事態を回避するために、あらかじめ把握しておくべき禁止事項について確認しておきましょう。

個人的な事情や感情論を理由に条件交渉を行うこと

「住宅ローンの支払いがあるため、前職より下がると困ります」「生活費が足りないから、給料を上げてほしい」といった、個人的な生活事情を理由にして基本給の引き上げを強く要求することは、厳禁です。企業は、提供される実務上の価値や、入社後の成果への期待値に対して給料を支払います。論理的思考やプロ意識が求められるビジネスの場において、個人的な感情論や依存的な姿勢を見せることは、最悪の評価に直結し、歩み寄りの機会を完全に失わせる原因となります。

内定承諾の意思を示した後の後出しでの要求

オファー面談や条件提示の場で提示された給与に一度納得し、内定承諾の意思表示をした後や、内定承諾書を提出した後に、「やはり、他社からも良い条件が出たので、もう少し年収を上げてほしい」と、後出しで給料交渉を持ちかけることは、ビジネスにおける重大なルール違反となります。一度交わした合意を事後的に覆そうとする不誠実な行為は、採用担当者や配属先からの信用を根底から失わせ、最悪の場合は内定そのものが白紙に戻るリスクも伴います。そのため、条件に関する確認や年収交渉は、必ず内定承諾の返答を行う前の検討期間内に、すべて完結させなければなりません。

ABOUT ME
ライト
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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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