お役立ち情報

ドイツにおける給与交渉の実態と戦略|文化の違いと成功するための具体的な進め方

ライト

海外で働くことを検討している方や、ドイツ企業に応募する際に気になるのが「給与交渉」の文化と進め方です。
日本とは異なるビジネス習慣がある中で、ドイツでは給与交渉が当たり前の行為とされており、むしろ交渉しないと「積極性が足りない」と見なされることもあります。

この記事では、「ドイツ 給与交渉」というキーワードをもとに、ドイツでの給与交渉の特徴、交渉のタイミングと進め方、文化的注意点、現地相場の調べ方、成功事例までを詳しく解説します。


ドイツの給与交渉文化とは?

▶ 給与交渉は“ビジネススキル”の一部

ドイツでは、新卒でも中途でも、給与交渉はごく一般的なプロセスです。企業側も候補者からの交渉を前提として提示額を設定することが多く、交渉する姿勢そのものが「自己主張力」「交渉力」として評価されます。

▶ 「静かに従う」はマイナス評価になることも

日本では“出過ぎた態度”にならないよう遠慮しがちですが、ドイツでは条件に対する意見を述べない=積極性に欠けると受け取られることもあるため注意が必要です。


給与交渉のタイミングと流れ(ドイツ編)

フェーズ説明
✅ 書類選考通過後の1次面接希望年収を質問されることが多い
✅ 最終面接後、内定前企業から年収提示があり、この時点で交渉が可能
✅ オファーレター(雇用契約書)受領時年収・休日・福利厚生などを確認し、再調整の相談ができる

ドイツでの給与交渉:どのように伝えるか?

給与交渉においては、「率直さ」と「論理性」が重視されます。ドイツ人は感情ではなく根拠に基づいた話し合いを好むため、希望額には必ず説明を添えることが求められます。

▶ 伝え方の例(英語・ドイツ語)

英語(国際企業の場合):

Based on my experience in project management and market research, I believe a gross annual salary of €60,000 would be more in line with my responsibilities in this role.
I’m, of course, open to discussing and aligning with your internal salary structure.

ドイツ語:

Aufgrund meiner Erfahrung im Bereich Projektmanagement und meiner bisherigen Vergütung halte ich ein Bruttojahresgehalt von etwa 60.000 Euro für angemessen.
Ich bin jedoch gerne bereit, gemeinsam eine faire Lösung zu finden.


交渉で提示される年収の相場(参考)

ドイツでは**Bruttojahresgehalt(年間総支給額・税込)**で給与が提示されるのが一般的です。以下はあくまで目安です。

職種年収相場(€)備考
ソフトウェアエンジニア50,000〜80,000地域差あり(ベルリンは低め、ミュンヘンは高め)
営業職(B2B)45,000〜75,000成果報酬やボーナスが加算されることも
経理・財務担当40,000〜65,000国際企業では英語力により上乗せされる傾向
マーケティング(中堅)50,000〜70,000デジタルスキル保有者は高評価
新卒(大卒)36,000〜48,000IT・工学系はやや高めに設定される傾向

給与交渉を成功させるための3つの戦略

1. **市場調査を徹底する(Gehaltsvergleich)

**

  • ドイツでは【Glassdoor】【Kununu】【Gehalt.de】などで給与比較が可能
  • 同業種・同地域・同職種の年収レンジを把握しておく

2. 希望額は「レンジ」で伝える

  • 例:「50,000〜55,000ユーロ程度を想定しています」
  • 端的な希望だけでなく、「柔軟に調整可能」という姿勢を見せることが印象良く伝わります

3. 年収以外の条件も視野に入れる

  • 例:フレックスタイム、在宅勤務制度、追加有給日、研修費補助など
  • ドイツでは“ワークライフバランス”を重視する文化があり、柔軟性の交渉も有効な手段です

給与交渉で避けたいNG行動(ドイツ特有)

NG例理由
❌ 希望額を濁す、曖昧にするドイツでは明確な金額提示が期待される
❌ 根拠のない「上げてほしい」だけの主張ロジックのない要求は信用を失いやすい
❌ 他社のオファーを盾にする比較で相手を試すような態度は敬遠される
❌ 入社意欲を示さないまま交渉だけ行う誠意や動機を欠くと「交渉材料」としか見られない

成功事例|日本人のドイツ就職における給与交渉

▶ ケース①:30代男性・ソフトウェア開発職

  • 初回提示:年収52,000ユーロ
  • 希望:60,000ユーロ(理由:前職年収+技術資格保持)
  • ⇒ 交渉の結果、年収58,000ユーロで合意し、リモート勤務も認可

▶ ケース②:20代女性・マーケティングアシスタント

  • 提示:40,000ユーロ
  • 希望:43,000ユーロ(ローカル職種+語学対応が必要であることを理由に)
  • ⇒ 年収据え置きだったが、有給日数+3日、語学講座費用補助を獲得

まとめ|ドイツの給与交渉では「論理・明確さ・対話力」が成功のカギ

ドイツでは、給与交渉はビジネスプロセスの一部であり、求職者側にも“交渉する責任”があると捉えられています。
その文化の中で成功するには、市場価値の把握と明確な意志表示、そして合理的な根拠の提示が欠かせません。


✅ 最後に押さえておきたいポイント

  • ドイツでは給与交渉は当然。希望は明確に、論理的に伝えるべき
  • Brutto(総支給額)ベースで話すのが一般的
  • 交渉は柔軟に、年収以外の待遇にも目を向けることが重要
  • 誠実かつ対等な姿勢で「パートナーシップ」を意識することが成功のカギ

給与交渉は“お金の話”ではなく、“プロとしての価値をどう伝えるか”という対話です。ドイツという合理性の国で、あなたのスキルと経験を正当に評価してもらうために、丁寧かつ戦略的に交渉に臨みましょう。

ABOUT ME
ライト
ライト
キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
※当サイト記事はリンクフリーです。ご自身のサイトへ自由にお使い頂いて問題ありません。ご使用の際は、文章をご利用する記事に当サイトの対象記事URLを貼って頂ければOKです。
記事URLをコピーしました