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部下の給与交渉にどう対応すべきか|上司としての適切な受け止め方・対応フロー・注意点

ライト

現場を管理する立場になれば、いずれ直面するのが「部下からの給与交渉」です。
近年は働き方改革や成果主義の浸透により、若手社員からも待遇改善の要望が挙がることは珍しくありません
しかし、上司としては「どう受け止めればいいか」「どこまで応じるべきか」「会社方針との整合性は大丈夫か」など、判断に迷う場面もあるでしょう。

この記事では、「部下 給与交渉」というキーワードをもとに、給与交渉を申し出た部下への対応方法、効果的なコミュニケーションの取り方、判断基準、そしてトラブルを防ぐための注意点を詳しく解説します。


給与交渉をする部下が増えている背景

▶ キャリア志向の変化と情報開示の進展

  • 転職市場の活性化により、自分の市場価値を意識する部下が増加
  • SNSや求人サイトなどで「同職種・同年齢」の年収が可視化され、不公平感が生まれやすい
  • 成果主義・ジョブ型制度の浸透により、「仕事の重さ=報酬」と捉える価値観が強まっている

上司としての正しい向き合い方|部下から給与交渉を受けたときの基本対応

給与交渉は「無礼」ではありません。むしろ、成長意欲や責任感の裏返しであることも多く、真摯に対応することが重要です。

▶ STEP 1:まずは丁寧に“話を聞く”

  • 最初から否定せず、「話してくれてありがとう」と受け止める
  • 要望の背景(職務の変化、貢献度、負担増など)をしっかり確認

▶ STEP 2:事実と成果を客観的に整理

  • 業務量や範囲、責任の程度、他メンバーとの比較、過去の評価を踏まえて整理
  • 特に評価項目(KPI、成果、スキル)に沿って判断することが重要

▶ STEP 3:給与制度・評価ルールを説明

  • 自社における「昇給・昇格のルール」や「等級・評価基準」などを説明
  • “感情”ではなく、“制度”に基づいて対応する姿勢が信頼を生む

▶ STEP 4:検討・提案の可否を伝える

  • 自分の裁量で決定できるか、上長・人事に相談が必要かを明確化
  • 「すぐに答えは出せないが、前向きに検討する」という姿勢がポイント

給与交渉への対応でやってはいけないNG行動

NG対応なぜNGか
「その年齢でまだ早い」などの感情論モチベーション低下・納得感の欠如につながる
話を聞かずに一蹴する評価されていないと感じて離職リスクに直結
他者と比較して「○○は我慢している」公平性ではなく、感情の押し付けに見える
勝手に条件を約束する給与決定権限を逸脱して問題に発展する可能性あり

判断のポイント|部下の給与交渉にどこまで応じるべきか?

給与調整の判断には、以下の基準が必要です。

判断軸チェックポイント
客観的成果売上、KPI、プロジェクト完遂など、数値で示せる成果があるか
業務範囲の拡大部下の指導・管理、複数業務の並行対応、リーダー職務などの有無
組織内のバランス同等ポジションの社員と比べて給与が不自然に低くないか
将来性今後も継続して成果を出し、成長が見込まれるか

給与交渉に対する返答文の例(上司から部下へ)

〇〇さん

先日は給与についてのご相談をいただき、ありがとうございます。
今回お話いただいた内容から、これまでの貢献や業務負荷の増加を真摯に受け止めています。

現在の評価制度や昇給タイミングを踏まえると、すぐに変更をお約束することは難しいのですが、
あらためて今後の目標設定や役割について上司間・人事と共有し、前向きに検討いたします。

今後も貴重な戦力として期待しておりますので、引き続きよろしくお願いします。


給与交渉を“前向きな機会”に変える上司のマインド

給与交渉は、部下にとっては勇気のいる行動です。それを**「わがまま」ではなく「成長意欲の表れ」と捉えることで、組織の風通しも良くなります。**

  • 部下のモチベーション維持や離職防止につながる
  • 組織全体の人事制度を見直す契機になる
  • 評価の「見える化」により、納得感のあるマネジメントが実現する

まとめ|部下の給与交渉には“公平・誠実・制度的対応”を

給与交渉は、感情論ではなく**「貢献度」と「制度」のバランスで対応することが最も重要**です。
上司としては部下の声に真摯に向き合いながら、組織の方針とも整合をとったうえで、丁寧に回答を示すことが求められます。


✅ 最後に押さえておきたいポイント

  • 給与交渉は部下の成長意欲や責任感の表れ。頭ごなしに否定しないことが重要
  • 貢献内容・制度・評価基準の3軸で判断し、誠実に説明する
  • 「公平性」「将来性」「成果の可視化」を重視することで納得度が高まる
  • 組織全体にとっても、評価制度の透明化・改善につながる好機

給与交渉を通して、部下との信頼を深め、組織力を高めるマネジメントを実現していきましょう。

ABOUT ME
ライト
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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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