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転職における賃金交渉の権利とは?年収アップを実現する正当な進め方と注意点

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転職活動を進める中で、志望する企業から無事に内定を獲得し、労働条件通知書を受け取った際、「提示された賃金に納得がいかない場合、自分から条件の変更を求める権利はあるのだろうか」「入社前にお金の話を持ち出すと、権利の乱用と受け取られないだろうか」と、不安を感じる転職者は、決して少なくありません。賃金は、自身の労働に対する最も重要な対価であり、生活基盤を直接的に支えるものであるため、誰もが適正な評価を受けたいと願うものです。結論から申し上げますと、転職者が企業に対して賃金交渉を行うことは、法律上もビジネスの慣習上も、正当に認められた権利です。しかしながら、その権利の主張方法やタイミングを誤ってしまうと、採用担当者に悪印象を与えたり、企業との信頼関係を損ねたりするリスクが伴います。この記事では、転職における賃金交渉の権利の法的根拠をはじめ、権利を適切に行使するための事前準備、好印象を与える具体的な伝え方、そして、絶対に避けるべき注意点について、詳しく解説します。

転職者に賃金交渉の「権利」はあるのか?法律と実情

まずは、そもそも転職活動において、応募者側から賃金の引き上げや条件の調整を求める権利がどのように担保されているのか、その基本となる仕組みについて、正しい理解を深めておくことが大切です。

労働契約における「契約自由の原則」

日本の法律において、企業(使用者)と労働者との間で結ばれる労働契約は、民法上の「契約自由の原則」に基づいています。これは、契約を結ぶかどうか、どのような内容で結ぶかについて、双方が対等の立場で自由に決定できるという大原則です。したがって、企業側が提示した賃金などの労働条件に対して、転職者が「この条件では契約できないため、見直してほしい」と対案(カウンターオファー)を出すことは、契約を結ぶ過程において、ごく自然で正当な権利の行使に該当します。労働基準法などによって労働条件の最低基準は定められていますが、それを上回る条件の決定は、あくまで双方の合意に委ねられているのです。

転職活動において賃金交渉を行うことの正当性

中途採用の市場においては、応募者の持つスキル、経験、そして即戦力性が、人それぞれに大きく異なります。そのため、企業側も、一律の給与テーブルだけでなく、個別の能力評価に基づいて賃金を決定するケースがほとんどです。これまでの実績に見合った適正な賃金を得るために、根拠をもって交渉を行うことは、ビジネスパーソンとして自身の価値を正しく主張する行為であり、正当な権利として認識されています。企業側も、優秀な人材を獲得するためであれば、規定の範囲内で条件のすり合わせに応じる準備を持っています。

権利としての賃金交渉を成功させるための事前準備

正当な権利であるとはいえ、感情論や漠然とした希望だけで交渉に臨んでも、企業の採用担当者を論理的に納得させることはできません。権利を適切に行使し、賃金の引き上げを引き出すためには、客観的なデータに基づいた入念な事前準備が不可欠となります。

自身の市場価値と希望条件(ボトムライン)の明確化

準備の第一歩として、最新の源泉徴収票を確認し、手取り額ではなく、税金や社会保険料が控除される前の、正確な前職の「額面年収」を把握します。その上で、志望する業界や職種において、同等の経験や年齢を持つ人材が、どの程度の賃金を得ているのかという、客観的な市場相場をリサーチします。これらを基準として、目標とする希望額だけでなく、これ以下の条件であれば内定を辞退するという、自身が絶対に譲れない最低希望額(ボトムライン)を、あらかじめ明確に定めておくことが大切です。

即戦力として貢献できる客観的な根拠の整理

企業が、当初の提示額を引き上げてでもあなたを採用したいと思うためには、社内で決裁を通すための合理的な理由が必要となります。前職で残してきた売上成果、目標達成率、あるいは業務効率化によるコスト削減の実績などを、可能な限り具体的な数値データとして整理しておきます。自身が持つスキルや経験が、転職先の事業課題をいかに解決し、早期に利益をもたらすことができるかという投資対効果を、論理的に説明できるように準備しておくことが、権利を主張する上での最大の武器となります。

賃金交渉の権利を適切に行使するタイミングと伝え方

準備した根拠や希望条件を企業へ伝える際は、企業との良好な関係を維持するために、権利を主張する時期と、コミュニケーションのトーン&マナーに、細心の注意を払う必要があります。

交渉のベストタイミングは「内定受領後」

転職活動における賃金交渉は、すべての選考プロセスを通過し、企業から正式に「内定通知書」や「労働条件通知書」を受領した直後から、内定承諾書を提出するまでの検討期間内に行うのが、最も安全で効果的です。この段階になると、企業側は「あなたを自社に迎え入れたい」という明確な評価と採用意思をすでに決定させているため、選考中よりも応募者側の立場が比較的安定し、対等な立場で条件交渉の権利を行使しやすくなります。面接の段階で自らお金の話を切り出すと評価を下げる原因となるため、必ず正式な内定を受けた後に、条件の確認と合わせて交渉をスタートさせます。

一方的な要求ではなく謙虚な「相談」のスタンスを貫く

賃金交渉の権利を持っているからといって、「希望の金額を出してほしい」と、一方的な要求を突きつけることは避けるべきです。お互いの事情に配慮した「相談」のスタンスを徹底することが、交渉を成功に導くポイントとなります。企業側へ連絡を入れる際は、自分を高く評価して内定を出してくれたことに対する深い感謝と、その企業で意欲的に働きたいという高い入社意欲を、真っ先に伝えます。貴社への入社を前向きに確定させたいからこそすり合わせを行いたい、という誠実な文脈を作ることが、企業の柔軟な対応を引き出す鍵となります。

権利を主張する際に避けるべき注意点とNG行動

交渉の失敗や、入社前の段階で企業からの信頼を決定的に損ねる事態を防ぐために、あらかじめ把握しておくべき禁止事項について確認しておきましょう。

内定承諾後の「後出し交渉」は厳禁

提示された労働条件に納得し、一度「内定承諾書」や「労働条件同意書」に署名捺印をして提出した後に、やはり賃金を上げてほしいと、後出しで交渉を持ちかけることは、重大なルール違反となります。すでに社内の決裁フローを経て決定し、双方が合意した契約条件を事後的に覆そうとする行為は、契約の原則に反し、約束を守らない不誠実な人物であるという決定的な悪印象を与えます。その結果、採用担当者や配属先からの信用を根底から失う事態を招きます。条件に関する確認や交渉は、必ず承諾書を提出する前の検討期間内に、すべて完結させることが必須です。

私的な生活事情や感情論を権利主張の根拠にしない

住宅ローンの返済があるから、現在の生活水準を落としたくないからといった、私的な生活事情や、過去の職場環境への不満を理由にして賃金交渉の権利を行使することは、ビジネスの場において一切機能しません。企業は、個人の生活事情に対して対価を支払うのではなく、提供される労働の価値や成果に対して給料を支払います。交渉の場においては、個人的な事情は完全に切り離し、常に自分が企業へ提供できるビジネス上の客観的な価値のみを根拠として、誠実な話し合いに臨む必要があります。

ABOUT ME
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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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