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年収交渉では「確定拠出年金」にも注意を|見落としがちな制度の正しい確認方法と交渉のポイント

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転職活動において、企業との年収交渉は非常に重要なフェーズです。しかし、提示された金額がそのまま手取りや実質的な可処分所得に反映されるとは限りません。特に近年増加しているのが、給与の一部として**確定拠出年金(DC=Defined Contribution)**を含む給与体系です。

本記事では、「年収交渉 確定拠出年金」というキーワードを軸に、年収交渉時に確定拠出年金をどう捉えるべきか、見落とさないためのチェックポイントや、交渉時の注意点・伝え方を詳しく解説します。


確定拠出年金とは?|企業型DCと年収の関係

**確定拠出年金(企業型DC)**は、企業が従業員の老後資産形成のために毎月一定額を拠出し、その運用成果に応じて将来の給付額が変動する制度です。従来の退職金制度や確定給付年金とは異なり、運用リスクと成果は本人の自己責任となる点が特徴です。

✅ 確定拠出年金の拠出方法の種類

拠出方法説明年収交渉時の注意点
会社拠出(福利厚生型)年収とは別に会社が負担実質的なプラス要素として好材料
給与振替型(選択制DC)年収の一部を拠出(給与扱い)実質手取りが減る可能性あり
年収に含まれる表示年収にDC拠出分が含まれる見かけの年収が実際より高く見えることがある

年収交渉時に「確定拠出年金」を確認すべき理由

✅ 1. 表示年収が「実質年収」ではない可能性がある

たとえば「年収600万円」と提示されていても、そのうち60万円が確定拠出年金として拠出されていれば、実際に毎月受け取る額(額面給与)は540万円ベースになることがあります。

❗交渉時には「確定拠出年金の拠出額は給与に含まれていますか?」と必ず確認を。


✅ 2. 給与振替型DCは社会保険料や税金に影響を与える

給与振替型DC(選択制)を導入している場合、給与から拠出額を控除するため、表面上の給与額が下がり、将来の厚生年金や雇用保険の給付額にも影響を及ぼす可能性があります。


✅ 3. 老後資産形成としてはメリットが大きいが、短期的な手取りとは別

確定拠出年金には税制優遇があり、老後資金としては有効です。しかし、「今の生活に直結する報酬」として考える場合は、その分が現金で受け取れる年収とは違うことを認識しておく必要があります。


年収交渉時の「確定拠出年金」確認ポイントチェックリスト

チェック項目確認内容
拠出額月いくら、年いくらが拠出されるか(例:年36万円)
給与に含まれるかオファーされた年収にDC分が含まれているか
給与からの控除か振替型の場合、どのように給与から引かれるか
社会保険への影響拠出方法が保険料や将来の給付に影響するか
運用は自己責任か投資リスクや商品選択は社員に委ねられているか

年収交渉での伝え方(確定拠出年金込みのオファーが提示された場合)

▶ 丁寧な確認+希望額提示の例文(面談やメール)

「ご提示いただいた年収について、確定拠出年金制度が含まれているとのことでしたが、
差し支えなければ、その拠出額と支給方法(給与に含まれるのか別途支給か)についてご教示いただけますでしょうか。

今回のポジションと前職の条件を踏まえ、可能であれば、現金給与部分で〇〇万円程度のご調整をご検討いただけますと幸いです。

あくまでご相談ベースでのお願いでございますので、制度上の制限などございましたらお知らせいただければ幸いです。」


例:年収600万円オファーの内訳がこうなっていた場合

内容金額(年額)
基本給+賞与540万円
確定拠出年金拠出額60万円
表示年収600万円(内60万円は実質非課税だが現金支給なし)

→ このような場合、「実質の手取りベース給与は540万円」と認識し、それを基準に交渉を検討する必要があります。


年収交渉時に確定拠出年金がある企業で注意すべきこと

注意点内容
制度の仕組みを知らずに交渉すると損をする含まれていることを見落とすと、想定より可処分所得が減る可能性あり
福利厚生として捉えるのはOK、ただし現金ではない将来にはプラスだが、目先の生活費には関与しない
同業他社と比較する際も同条件で比較すべき「年収〇万円」と一見同じでも、含まれている内容が違う可能性あり

まとめ|「年収交渉 × 確定拠出年金」では“実質手取り”を基準に

年収交渉 確定拠出年金」というテーマは、数字のトリックに惑わされないための重要な視点です。特に給与に含まれている場合は、“提示された年収額=現金で受け取れる額”ではないことを正確に理解しておくことが必要です。


✅ ポイントまとめ

  • 年収交渉では確定拠出年金が含まれているかを必ず確認
  • 「福利厚生型」と「給与振替型」で扱いが異なるため、詳細確認が重要
  • 交渉時は現金給与ベースでの希望額を明確に伝える
  • 確定拠出年金自体は長期的メリットがあるが、手取りとは別物

年収交渉を成功させるためには、「金額」だけでなく「内訳」にも目を向けることが欠かせません。確定拠出年金の仕組みを正しく理解し、納得のいく条件で新しいキャリアをスタートさせましょう。

ABOUT ME
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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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