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給与交渉は「誰に」伝えるべきか?|交渉相手の正しい見極めと進め方の実践ガイド

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給与に関して不満や希望がある場合、「誰に交渉すればいいのか?」という点で迷う方は少なくありません。給与交渉は内容だけでなく、交渉する“相手”を間違えると成果が得られないばかりか、信頼関係やキャリアにも悪影響を及ぼしかねません。

この記事では、「給与交渉 誰に」というキーワードをもとに、社内での適切な交渉相手の選び方、組織によって異なるルート、注意点、そして成功のための進め方を詳しく解説します。


給与交渉の前提|なぜ「誰に」伝えるかが重要なのか?

給与は会社における人事制度・評価制度・等級制度・予算管理と深く結びついています。そのため、単なる業務上の上司ではなく、給与決定権限を持つ部門や役職に伝えることが極めて重要です。

交渉相手を間違えると以下のような事態に陥ることがあります:

  • 「私には権限がない」と返されて終了
  • 誤解を生み、評価が下がる
  • 情報共有が不十分で、交渉が放置される
  • 逆に社内で悪い印象を持たれてしまう

給与交渉は「誰に」すべきか?正しい交渉ルートの見極め方

交渉相手は企業の規模、職場環境、評価制度の運用体制によって変わります。以下に、代表的な職場タイプごとの正しい交渉相手を紹介します。

▶ 中小企業の場合

役職・部門説明
直属の上司(課長・部長)評価者として交渉の起点。提案・推薦も可能
社長・経営者小規模企業では給与決定者が経営陣であることも
人事・総務担当制度や処遇調整の実務を担う部署

まずは上司に相談し、必要に応じて経営層と面談を組むのが一般的な流れ。


▶ 大企業・上場企業の場合

役職・部門説明
直属の上司(1次評価者)評価の一次決定者。給与の推薦・申請権限を持つ
部門長または部長クラス(2次評価者)昇給・昇格に直接影響するポジション
人事部門評価制度と給与テーブルの管理。制度内での調整可
労務・人事企画課ケースに応じた例外処理や給与改定の特例判断を行う

評価面談などのタイミングで上司に相談し、必要に応じて人事部門への面談を組むのがスマートなルート。


交渉相手ごとの特徴と交渉のコツ

【直属の上司】

  • 役割:自分の業務と成果を最もよく知る立場
  • 交渉のポイント
    • 実績・責任範囲・評価を踏まえて相談する
    • 「給与の相談」としてではなく「キャリア形成の一環」として伝える

例:「今後のキャリアやパフォーマンス向上のために、処遇面も含めてご相談させていただけないでしょうか?」


【部長・マネージャー以上】

  • 役割:部署全体の評価統括や昇給推薦権限
  • 交渉のポイント
    • 個別対応よりも部署全体の給与バランスを重視されるため、客観的な数値と制度に基づいた提案が有効
    • 昇給に向けた中長期的視点(「次の評価で〇等級を目指したい」)を示す

【人事部門】

  • 役割:制度設計・給与テーブル・等級基準の運用管理
  • 交渉のポイント
    • 給与の原資や等級制度に基づいた現実的な相談を
    • 昇格・等級変更による給与調整の可能性がある

例:「現状の等級と業務内容に乖離があると感じており、制度に基づいた処遇の見直しをお願いできればと思っております。」


給与交渉の基本的な進め方|誰に対しても使える流れ

  1. 上司へ相談意向をメールで事前に伝える
     → 内容は「今後のキャリアや待遇について一度ご相談したい」といったソフトな表現が◎
  2. 面談時に実績・責任範囲・改善案を提示する
     → 主観ではなく、客観データや組織貢献を根拠に
  3. 「処遇の相談」として柔らかく交渉を進める
     → 「上げてほしい」ではなく「見直しの機会を頂けると嬉しい」という伝え方が効果的
  4. 必要に応じて人事部門への同席や調整を依頼
     → 上司に「制度面の相談も含めて人事と面談できると助かります」と提案するのも可

給与交渉で避けるべき相手・タイミング

NGケース理由
同僚・先輩社員権限がなく、社内トラブルの原因に
昇給決定後すぐのタイミング反映が難しく、制度外の例外として扱われやすい
社内での雑談・飲み会中の相談信頼関係や評価を損ねる可能性がある

成功事例|適切な交渉相手を選んで昇給につながったケース

▶ ケース①:中小企業(営業職・30代)

  • 直属の上司に実績資料を基に相談
  • 社長面談をセッティングしてもらい、最終的に年収40万円アップで合意

▶ ケース②:大手メーカー(開発職・40代)

  • 評価面談時に部長へ責任範囲拡大を説明
  • 上司が人事部にかけあい、等級変更→昇給+役職手当が追加

まとめ|給与交渉は「誰に伝えるか」で成果が決まる

給与交渉は、「話し方」や「内容」以上に、「誰に伝えるか」で結果が大きく変わります。適切な相手に、適切なタイミングで、論理的かつ前向きにアプローチすることが、待遇改善とキャリア形成の第一歩です。


✅ 最後に押さえておきたいポイント

  • 給与交渉はまず直属の上司へ相談し、必要に応じて人事部門へ展開
  • 交渉の相手は会社の規模や制度によって異なる。自社の仕組みを確認しよう
  • 主張は“感情”よりも“実績・責任・制度”を根拠にロジカルに展開
  • 給与交渉=キャリア交渉。相談姿勢で信頼を得ながら進めよう

「給与の相談は悪いこと」と思わず、自分の努力と成果を正しく伝えるチャンスとして、正しい相手に堂々と交渉していきましょう。

ABOUT ME
ライト
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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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