転職時の給与交渉における「残業代」の確認ポイント|基本給との違いや交渉の注意点を徹底解説
転職活動において、年収や待遇の希望を伝える「給与交渉」は非常に重要なステップです。しかし、この交渉で見落としがちなのが「残業代の扱い」です。希望額が叶ったとしても、残業代が支給されるのか、あるいは固定残業制(みなし残業)なのかによって、実際の手取り額や労働条件に大きな差が生まれます。
この記事では、「転職 給与交渉 残業代」というキーワードをもとに、転職時における残業代の確認方法、給与交渉への取り入れ方、注意すべき契約条件やトラブル防止策までを詳細に解説します。
なぜ給与交渉で「残業代の扱い」が重要なのか?
企業が提示する年収は、「基本給+賞与+残業代込み」であるかどうかが明示されていないことがあります。
これを曖昧にしたまま内定を承諾すると、思ったよりも手取りが少ない、想定より長時間労働が多いのに残業代が固定されているといったギャップが生じるリスクがあります。
たとえば:
年収600万円提示 | A社(残業代別途支給) | B社(固定残業代込み) |
---|---|---|
基本給 | 480万円 | 400万円 |
残業代 | 実働分支給(例:月5万円×12=60万円) | 固定残業代(例:月7万円×12=84万円) |
実収入 | 残業が少なければ高くなる | 残業が多いと追加支給なし |
働き方 | 時間管理型 | 成果主義または自己管理型 |
残業代に関する代表的な給与形態
① 残業代別途支給(完全実働制)
- 所定時間(例:月40時間)を超えた分は、法定割増賃金で支給される
- 時間外手当が明確で、労働時間とのバランスが見えやすい
② 固定残業代制(みなし残業)
- あらかじめ月○時間分の残業代を給与に含む形態
- 月給○○万円(固定残業代○時間分××円含む)と明記される
- 超過分の支給があるかどうかは企業により異なる
③ 管理監督者(残業代なし)
- 管理職等で残業代の支給対象外となる
- 実態として管理職の条件を満たさない場合は違法の可能性あり
転職時の給与交渉で残業代を確認・交渉するポイント
▶ 面接・内定後のフェーズで確認すること
確認項目 | 質問例 |
---|---|
年収提示の内訳 | 「提示された年収には、残業代が含まれていますか?」 |
残業代支給の有無 | 「残業代は実働分が別途支給されますか?それとも固定ですか?」 |
固定残業時間の明示 | 「固定残業制の場合、対象時間と超過分の支払いについて教えてください」 |
管理職扱いの対象範囲 | 「今回のポジションは管理監督者に該当しますか?」 |
※ 内定後に書面で提示される雇用条件通知書やオファーレターにて、正確な記載を確認することが重要です。
残業代を考慮した給与交渉の例文
▶ 交渉例①:固定残業代の内訳が不明確な場合
このたびは内定のご提示、誠にありがとうございます。
一点確認させていただきたいのですが、ご提示いただいた年収〇〇万円には、固定残業代が含まれているとのことですが、対象時間とその金額の内訳をお伺いできますでしょうか?また、固定時間を超えた場合の支給方法についてもご教示いただけますと幸いです。
▶ 交渉例②:固定残業時間が多すぎると感じた場合
ご提示いただいた給与条件について、内容を確認させていただきました。
固定残業時間が月45時間とやや多い印象がございますが、実際の残業実績や、業務設計についても一度確認できればと思います。もし可能であれば、固定残業時間の見直しや、基本給部分の調整をご相談させていただけますでしょうか。
残業代に関する契約書チェックポイント
給与交渉のあとに提示される雇用契約書・労働条件通知書で、以下のような記載があるかを確認しましょう。
チェックポイント | 内容例 |
---|---|
月給内訳 | 月給〇〇万円(うち固定残業代△△時間分〇〇円を含む) |
超過分の取扱い | 「超過した残業時間分は追加支給」などの明記 |
管理職扱い | 「本ポジションは管理監督者とし、労働時間の規制対象外とする」等 |
残業代に関する給与交渉での注意点
注意点 | 解説 |
---|---|
❌ 曖昧なまま承諾しない | 「年収600万」という総額だけでは正確な比較ができない |
❌ 固定残業代の超過支払いがない企業もある | 長時間労働に繋がる可能性あり |
❌ 管理職だからと諦めない | 実質的に管理職でない場合は交渉・相談の余地あり |
✅ 条件は必ず「書面で」確認 | 口頭説明と異なるケースもある |
まとめ|転職時の給与交渉では「残業代」を明確に確認・交渉することが重要
転職時の給与交渉では、提示された年収だけを見るのではなく、残業代の扱いを明確にすることが非常に重要です。
固定残業制か実働支給かによって、働き方や実収入に大きな差が生じるからです。
納得のいく転職を実現するためには、「残業代も含めて年収を正しく比較する」視点を持ちましょう。
✅ 最後に押さえておきたいポイント
- 年収提示には「残業代込み」か「別途支給」かを必ず確認する
- 固定残業制の場合は「時間数」と「超過支払いの有無」をチェック
- 給与交渉では「残業代の扱い」まで具体的に聞くことが失敗防止のカギ
- 条件はすべて書面で確認。口頭だけで判断しないこと
年収額だけで飛びつかず、「残業代込みかどうか」を明確にして交渉する。それが、後悔しない転職を叶える最初の一歩です。