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給与交渉における「組合」の役割とは?個人交渉との違いや進め方のポイントを解説

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給与に不満があったとき、「一人で交渉しても大丈夫だろうか」「労働組合は頼れる存在なのか」と悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。
実際、企業において給与や待遇を巡る交渉に関しては、**労働組合(組合)**が重要な役割を果たしています。

この記事では、「給与交渉 組合」というキーワードをもとに、組合による給与交渉の仕組み、個人交渉との違い、そしてどのような場面で活用すべきかを分かりやすく解説します。


給与交渉と労働組合の関係|なぜ組合が関与するのか?

企業における労働条件(給与・賞与・勤務時間など)は、基本的に労働契約として個別に締結されますが、会社全体の制度や賃金体系を決定する際には、労働組合との団体交渉が用いられるのが一般的です。

✅ 組合が給与交渉を行う理由

  • 個人では交渉力が弱く、不利益を被りやすい
  • 複数人の意見を集約し、「集団の声」として企業に伝えることで公平性が保たれる
  • 経営側と対等な立場で交渉を行える法的権利(団体交渉権)が認められている

労働組合が行う「団体交渉」とは?

団体交渉とは、労働組合が労働者を代表して、企業(使用者)と給与・労働条件について話し合いを行うことを指します。

▶ 主な交渉テーマ

項目内容
賃金(基本給・手当・賞与)定期昇給、ベースアップ、成果給の見直しなど
労働時間・休暇制度残業時間の抑制、有給取得の促進など
人事制度・評価基準昇進昇格の基準や評価制度の透明化
福利厚生の改善住宅手当、育児支援、健康診断などの制度充実

※団体交渉における合意事項は、労働協約として効力を持ち、企業は原則として遵守する必要があります。


組合による給与交渉の流れ(例)

  1. 組合員からの声を集約(アンケート・意見聴取)
  2. 経営側との交渉項目を決定(例:ベースアップ〇%要求)
  3. 定期交渉・団体交渉を実施
  4. 合意内容を社内へ周知・実施に移行

企業によっては、年に1回「春闘(春季労使交渉)」の場でベースアップや賞与交渉を行うことが通例となっている場合もあります。


個人で給与交渉したい場合、組合との関係はどうなる?

▶ 個別交渉も原則として可能

組合に所属していても、個人として上司や人事に給与交渉をすることは基本的に認められています。
ただし、企業文化や規模によっては「組合経由でないと難しい」とされるケースもあるため、まずは以下を確認しましょう:

  • 組合がどこまで交渉権を持っているか(賃金交渉が専属であるか)
  • 自分の待遇(役職・職能給)が組合の交渉対象になっているか
  • 上司や人事に直接相談する際のルールが定まっているか

✅ 個人交渉が有効なケース

ケース解説
昇進・役職変更後の給与見直し組合とは別に処遇が決まるため、個別交渉が妥当
明確な実績や専門スキルがあるピンポイントの評価見直しは個人交渉が効果的
管理職や非組合員である組合の交渉対象外のため、自ら動く必要がある

組合を通じて交渉するメリット・デメリット

観点メリットデメリット
交渉力多人数の意見を代表するため影響力が大きい個人の事情が反映されにくい
公平性同一労働同一賃金を前提とした議論が可能高い実績を出している人には物足りないことも
リスク直接的な対立を避けられる意思決定に時間がかかる場合がある

よくある質問(Q&A)

Q. 組合がない職場ではどうすれば良いですか?

A. 組合がない場合は、直属の上司や人事部に個別で相談する必要があります。また、従業員が2人以上いれば、**「労働者代表」や「労働組合の設立」**も検討可能です。


Q. 組合に相談すると、会社からマークされないか不安です…

A. 組合活動は法律で保護されており、不利益な扱いをすることは禁止されています。
心配な場合は、組合窓口で匿名相談も可能なケースが多いので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。


まとめ|給与交渉は「組合」と「個人」の両面からアプローチできる

企業との給与交渉には、労働組合という集団の力を活用する方法と、個人として自分の評価を伝える方法の2つがあります。
どちらが適しているかは、自身の立場・目的・企業文化によって変わります。


✅ 最後に押さえておきたいポイント

  • 労働組合は「団体交渉」を通じて賃金全体を底上げする役割を担う
  • 個人として給与交渉を行うことも可能(特に昇進・成果報酬など)
  • 組合を通じた交渉はリスクが少なく、長期的な待遇改善に有効
  • 自分の状況に合わせて、組合との連携 or 個別交渉を選択するのがベスト

給与は働く上での大切なモチベーション源です。
一人で悩まず、組合や信頼できる相談窓口をうまく活用して、自分らしい働き方と待遇を実現していきましょう。

ABOUT ME
ライト
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キャリアアドバイザー
人材サービス会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
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